ラファで続いているナクバ(大災厄)

ラファで大規模破壊進行中─「人道的破滅」と国連機関
The "Nakba" is going on in Rafah
ナブルス通信編集部

The Nablus News

2004年5月15日
─ナブルス通信 2004.5.15号による─


 

 

◇ラファで大規模破壊進行中─「人道的破滅」と国連機関

イスラエル政府は、ガザ最南端のラファでの家屋破壊をさらに大規模に行うことを承認し、それを受けて、14日に軍事車輌70台がラファに入りました。

イブナ地区のモスクをはじめとして、一帯に戦車からの砲撃が行われ、14日朝(現地時間)の時点でさらに3人以上が殺され、負傷者は増加し、家屋破壊は15軒に達しているという情報が入ってきています。ミサイルによる攻撃もまた行われたということです。

さらに14日昼過ぎ(現地時間)になると、AP、AFP、ロイター、BBCなどが矢継ぎ早にラファでのイスラエル軍ブルドーザーによる大規模な街破壊を報じ始めました。軍用ブルドーザーが「一列ごとに家並みをなぎたおしている」と。まだ、「作戦」進行中の現在、被害の規模はわかっていません。(夕刻のニュースによると、殺されたパレスチナ人は14日だけで6人、負傷者20人、家屋破壊は25軒になっているとある)。

現在、破壊が続いているのは、ラファのエジプトとの国境沿いです。国境に沿った「フィラデルフィ・ルート」と呼ばれているイスラエル軍の為の「緩衝地帯」をさらに拡張するためだとされていますが、ラファはこの3年半に徹底的にこの地帯の家屋を破壊されてきて、すでに1万1215人が家を失っています。このままでは、ラファのエジプト国境沿いの地区──イブナ地区のほとんど、ブラジル、サラーム地区のかなりの部分──がラファから消えます。ここに住んでいる人々の大半は難民で、イスラエルによって追われて、この街に辿り着き、文字通りのテント生活から今の暮らしを築いてきた人々です。

イスラエルは「兵士の安全をはかるための正当な行為だ」としていますが、国連パレスチナ難民救済事業機関の報道官は「集団懲罰は許されない。ラファの状況は「人道的破滅」だ」と反論。パレスチナ自治政府は国連にイスラエルの行為を止めさせるための仲介を求めています。

この「フィラデルフィ・ルート」は、ガザからの入植地の撤退後も──それが行われるとして──、イスラエルの管理下に置かれるとされ、ガザを隣接するエジプトと切り離す役目を果たそうとしています。

これを書いている間にも、家屋破壊を行う兵士にパレスチナ側からの攻撃が行われ、イスラエル兵士2人が死亡、2人が負傷したという知らせが入ってきました。さらにイスラエルからの攻撃が強まると予測されます。

56年前、多くのパレスチナ人が故郷を追われ、難民となりました。家は壊され、何百年と寄り添ってきたオリーブの木々や自分たちの大地も失いました。その時のことは「ナクバ(大災厄)」として、どのパレスチナ人にも生きています──たとえ、その後で生まれてきたとしても──。

ラファで瓦礫になった家の跡に這いつくばり、消耗しきった様子で何かを探しているおばあさんの様子をラファのムハンマドさんが書いています。何を探しているのかと尋ねたところ、「未来を、未来を」と答えたこの老女が探していたのは、1948年のナクバの時に失った家の鍵でした。

今、ラファの人々が直面しているのは、新しいナクバ(大災厄)と言えるのではないでしょうか。ラファでの破壊は続いています。

◇どうか、イスラエルに声を届けてください

イスラエルの反戦団体グッシュ・シャロームからもイスラエル政府に抗議をしてほしいという緊急のメールが届いています。「イスラエル兵が殺されたことは、このような戦争犯罪を正当化しない」

15日には大きな抗議集会がテルアビブで開かれるということです。

パレスチナではあまりにも多くの非道なことが行われ、その知らせを受け取り続けていると神経が麻痺しそうになりますが、世界が見ていることを知らせるためにイスラエル政府(や米国政府、国連、日本政府など)に声を届けることを今、ナブルス通信はみなさんにお願いします。

I call upon you to immediately stop the demolition of dozens of Palestinian homes going on at this moment at Rafah in the Gaza Strip.

という一文だけでも良いかと思います。

参考になる文例と送り先は
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/palestina0405.html


*14日のラファの状況についてはコチラ

※ラファについての総合情報:「特集:絶え間ない攻撃にさらされる街、ラファ」
http://palestine-heiwa.org/rafah/index.html

※ガザの状況を知るために参考文献(日本語訳)
『イスラエル軍の射撃練習場』 ギデオン・レヴィ
http://www32.ocn.ne.jp/~ccp/news/aqusa5/040307levi.html
『パレスチナ:地獄が地上を歩き回っている』 ムスタファ・バルグーティ
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/palestine040212.html

※ガザ地区の地図
http://www.palestinercs.org/images/Maps/gazamaplg.jpg



(参考)◇今のイスラエルの世論

イスラエル兵士が11人(さらに2名増加)犠牲になったことで、イスラエルの世論ではガザからの撤退を支持する声が高まっている。「イディオット・アハロノオト」紙には、シャロンの撤退プラン支持が62%から71%に上昇。反対に撤退反対が32%から24%に落ち込んだと発表している。

犠牲になった兵士の父親で、イスラエルのよく知られた俳優、シュロモ・ヴィシンスキー氏は、イスラエル政府に対する批判を発表した。「誰もガザにいたくはないことははっきりしている。リクード党のメンバーを除いては」。「私は息子が無意味にリクードの犠牲者になることを望まない。息子の死がガザから撤退する方向への抗議の引き金になることを望んでいる。ガザに私たちは用がないのだから」とヴィシンスキー氏は語った。

このような流れに対し、イスラエル観光相のベンヤミン・エロン氏はパレスチナ難民の「移送(という名の強制追放)」を金曜日に主張。「難民は米国、オーストラリア、シナイ半島に行かせるべきだ」、と。

「難民がいる限り、私たちはここで生きていくことはできない。それをイスラエル市民がわかっていないのはじつに残念なことだ。軍事作戦をどれだけしても、必ず報復が行われ、人命が失われる。『移送』は人道的な解決法になる」というのがエロン氏の主張だ。



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(編集責任:ナブルス通信

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